#石破内閣
自民党総裁選が27日、投開票され、石破茂元幹事長(67)が第28代総裁に選出された。
2週間あまりの選挙戦で、石破氏は何を訴えてきたのか?
そして、石破氏の首相就任で日本は何が変わり、何が変わらないのか?
今回の記事ではこれらを項目別にまとめて紹介します。
◎最優先事項
「急ぐのは能登の復興ですよ。みんなが論を待たないところですよ」。
さらに個人消費を上げるために
「社会の安心、安全がないといけない。どうやって医療、年金、介護がきちっと
安心できるか示さないと」と述べている。
石破内閣の政策
憲法改正はまず議論を
「賛成の人は賛成の人だけ、反対の人は反対の人だけで集まって議論しているため機運が高まらない」と指摘。
双方が顔を付き合わせての議論が必要と訴えた。
個人的には「事実上、軍隊的実力を持つ自衛隊を憲法に明記すべき」
などと具体案も挙げている。
○地方創生
鳥取県出身の石破氏らしく、
日本経済の起爆剤として地方創生をどの候補より声高に訴えた。
農水相、地方創生相も歴任したが、「地方の発展のために一生懸命やったけれども、
実現できたとはまったく思っていない」と使命感に燃えているそう。
また「デジタル田園都市構想というものをこれから先も進めてまいりますが。
いかにしてこの地方の衰退というのを止めるかということは、新政権において
さらに強力に取り組まねばならない」と、思いを強めている。
地方創生を「日本経済の起爆剤」と位置づけ大規模な対策を講じる方針を打ち出し企業が
地方に進出するのを後押しするほかデジタル化によって都市との情報格差を解消し地方に
人材を確保するとしています。
また少子高齢化や人口減少に対応するため、
「新しい地方経済・生活環境創生本部」を創設し、次の10年で集中的な総合対策を
実施するとしています。
さらに観光産業に付加価値を付けて地域活性化の大きな柱の1つにするとしています。
外交・安全保障
自衛権のあり方などを規定する「安全保障基本法」を制定するとしています。
またアジア地域の新たな多国間安全保障体制「アジア版NATO」を構築するとともに
日米同盟を対等なものにするため日米地位協定の改定に向けた検討を始めるとしています。
さらに北朝鮮による拉致問題の被害者の帰国を実現するため東京とピョンヤンにそれぞれ
連絡事務所を開設し交渉の足がかりを作るとしています。
サイバーセキュリティーに取り組む人員や予算を大幅に拡充するほか、シェルターの整備を進めて国民保護体制の実効性を確保するとしています。
○政治とカネ問題
自民党の党内処分について、
「国民が納得していないのは間違いない事実」と断言。
「政治不信の中、国民に説明責任を果たし国民が納得するまで全力を尽くす」
と約束している。
○防災省設置
頻発する災害に対処するため令和8年度中に「防災庁」を創設し、専任の閣僚を
置いた上で「防災省」への昇格を検討するとしています。
また「災害関連死ゼロ」を目標として、災害発生時、速やかにトイレやキッチンカー
などを配置できるよう平時から官民連携の体制を構築するとしています。
地震、水害など毎年のように起きている現状で、
有事に国民を保護する防災庁の設置を実施することを明言。
「被災した人たちをきちんと救うのは、市町村の仕事というより、国家の責任、
国の責任。これを果たすのがそれが政治の重要な使命」と断言した。
「これは必ずやります」と強い決意を示している。
経済・財政
「経済あっての財政」という考え方に立ち、
デフレからの脱却を最優先に経済・財政運営を行い、成長分野に官民挙げての思い切った
投資を行い安定成長を実現しつつ財政状況の改善を図るとしています。
その上で早急に経済対策を策定し成長戦略を取りまとめることも掲げています。
また内閣官房に経済や金融などの危機対応を行う組織を創設するとしています。
さらに中小企業などの賃上げを実現するため、半導体などの輸出企業を中心に
サプライチェーンを国内で整備し、税制などで民間の投資を呼び込むとともに国の投資も
強化するとしています。
スタートアップ企業への支援策や投資を一層促進するための税制改革や中央省庁の再再編
についての検討も盛り込んでいます。
賃上げ
生活必需品の価格や住宅ローンの金利の上昇に緊急対策を講じるとともに
価格転嫁対策を強化するための法整備を次の通常国会で行うとしています。
また企業の生産性向上を支援することなどで、2020年代に最低賃金を全国平均1500円
にまで着実に引き上げるとしています。
エネルギー
AIの普及による電力需要の増加に対応するため、原発の安全性を確保し、
地熱発電などの再生可能エネルギーも活用することで、エネルギーの自給率を抜本的に
引き上げるとしています。
社会保障・人口減少対策
人口減少を踏まえて高齢者や女性、それに障害者や外国人の就労を促進し
「一億総参画社会」を目指すとして実効性のあるセーフティーネットを確立するほか
健康維持のための医療制度を構築し医療費を適正化するとしています。
また子育て支援策を総合的に実施し「手当より無償化」の方向で支援のあり方を
見直すとしています。
さらに子ども・子育て支援に加え結婚や出産の支援にも重点を置き、少子化対策を
拡充するとしています。
○旧統一教会問題
「総裁選後に国民から声が上がれば、それに応える責務が自民党にはあると思う」
としたが、「今の時点で断定的なことを申し上げる材料を私は持っていません」
と慎重に語った。
○防衛
防衛庁長官、防衛相を歴任。
「防衛力の整備は必要なことだが、立派な装備があっても乗る人がいなければならない。
自衛隊で培った経験、能力を発揮する場を、日本国全体で用意しなければならない」と、
あくまで人材の大切さを訴えている。
○備蓄米放出
値崩れの懸念を理由に政府が備蓄米の放出を渋っていることに疑問。
農水相経験者でもあり、「備蓄米の放出は選択肢の一つだなと思っています。
高いのでお米が買えないなって方があるというのは、政府としてゆゆしき事態」と述べた。
○ネット投票、投票義務化
ともに賛成の意向。投票義務化については、
「自民党の中で常に少数だけど、投票は義務化すべきだと思っている。この国がどうなろうが、
この地域、国がどうなるろうか知らないというのは、いいことだと思っていない」と訴えている。
「まじで石破ふざけんな」という声
まさかの石破氏勝利に、ストレートな反応を示したのは経済だった。
円相場は1ドル146円台前半から、142円後半まで3円を超える円高となった。
さらに、
株式市場でも日経平均先物の価格が2000円近く下がる急落ぶりを見せている。
ネット上では、円や株価のチャートの画像とともに「石破ふざけんな」
「終わった。まじで石破ふざけんな」といった声や「ヤケ酒だなこりゃ」と
嘆きの声が相次いでいる。
将来の総理大臣候補では常に上位に食い込み、国民の人気も高い石破氏だが
“裏切りの歴史”を持つ人物でもあると政治ジャーナリストたちは語っている。
経済界からは“手痛い洗礼”を受けた石破氏は、新たな“裏切り”の歴史を紡がないよう
にしていただきたいものだ。
法人税への考えと姿勢
石破氏は、もうひとつの財源として法人税についても言及している。
総裁選中の討論会において「法人税はまだ上げる余地があると思っている。
負担する能力がある法人はまだある。累進課税とは言わないが、
負担する能力のある法人には、もう少し負担をお願いしたい」と述べている。
日本の法人税は安倍政権下で3回も減税されており、結果として日本企業の内部留保は
600兆円という空前の水準まで膨れ上がった。
本来、企業は蓄積した利益を次の成長のために先行投資する必要があるが、日本の大企業は
多くをキャッシュとして貯め込み、設備投資を拡大していない。
設備投資が増えなければ、経済学の理論上、景気が拡大するはずがなく、これが
日本経済停滞の大きな要因のひとつとなっている。
石破氏が法人税の増税について、単なる税収確保という観点で言及しているのかは
定かではないが、個人的には財源としての法人増税よりも、設備投資を促し、成長を実現
するための税制改正と位置付けた方がよいのではと考えている。
これまで政府は設備投資を増やした企業には減税するなど、各種の投資拡大策を実施して
きたが、効果はほとんどなかった。
その理由は法人税がすでに相当程度、安くなっているので、企業にとって減税には魅力を
感じないからである。
このような場合には、逆のインセンティブを付与する方が効果的だ。
つまり、設備投資を積極的に実施しない企業には相応の増税を行い、逆に設備投資に
積極的な企業には、現在の低い税率を維持させるという考え方であるそう。
法人増税なら効果は大きい
一律に法人税を上げてしまうと、積極的に設備投資を行っている成長企業の活動を
阻害する欠点があるのだが、逆のインセンティブを付与する方式であれば、投資に後ろ向きで
賃上げをしない企業のみをターゲットにできる。
企業は増税を回避したいので、これまで消極的なところも設備投資を行うようになるだろう。
一連の政策群は丁寧に取り組めば、相応の効果を発揮すると考えられる。
一方で、最大の欠点は効果を発揮するまでにはかなりの時間がかかるという点である。
短期的には金融所得課税の強化や法人税の税制改正は、むしろ景気に逆風となる可能性もある。
実際、総裁選が行われた9月27日の市場は、低金利持続を主張する高市氏が優勢と伝えられ、
午前中は株価が上昇し、円安も進んだものの、石破氏が総裁に決まると一気に株価は戻し、
為替も円高に振れた。
石破氏は党内を二分する形で総裁の座に就任しており、今後の政治運営は簡単ではない。
強い政権基盤を作らなければ、一連の政策は絵にかいた餅となってしまうだろう。
石破政権が掲げる経済政策は、富裕層や大企業に厳しく、大方の庶民や中小企業には優しいが、
実現のハードルは高く相応の時間もかかる。ここをどう考えるのかが最大のポイントとなる。
まとめ
先述にある通り、裏切りの歴史やネガティブイメージがある石破新総理。
政治素人の私からすれば、政界での立ち位置や賛否などは正直どうでもいいと考えています。
総理大臣が変わっても、劇的に日本の何かが大きく変化することはほとんどなく、その人の
姿勢や考え方が事細かに反映されることはない。
結局、『国民に選ばれて・国民に支持されて』の新内閣ではないからだ。
年代で違うと思うが、「今回の総理大臣はどんな感じなんだろー」のような俯瞰的な程度で
国民には思われるのは仕方がない。他国からすれば日本人は自国の政治に興味が無さすぎると
思われているのは有名な話だが、『国民が選べない・国民の声が反映されない』のだから
まあ、当然である。
今回の記事で紹介した石破内閣の政策などで、個人的にリアクションしたいのは、
やはり 防災省設置と法人税についてだ。
リアクションと言っても、興味関心が湧くくらいだが、気になる点ではあります。
災害が相次ぐ近年で今更感もるが、防災省設置は被災地の方々からしたら関心の的
でしょうし、災害国なので今後の拡充ぶりに期待が高まる事でしょう。
法人税についても、国民と政界でさまざまな思惑の差があるかもしれないが、
経営者たちからすれば、消極的に思えたことも新政策で良くも悪くも変化が必要に
なるので、順応できるかがカギになるでしょう。
節税の方法などまだまだいくらでもあるので、景気のために乗り気になるだろう。
新NISAをはじめ、投資をしている人も、石破ショックも起こりえる事を念頭に
入れた置いた方がいいと言えるでしょう。